冬の妖精 白鳥

純白で美しい白鳥

白石川の白石川河川公園には、毎年冬になると遠くシベリアから白鳥が飛来し、その数は500羽を超え、仙南随一の飛来数を誇ります。
純白で美しい白鳥の姿を一目見ようと、白石川河川公園には多くの人が訪れます。

大河原町白石川の白鳥

大河原町を中心とする仙南地方は、ヤマトタケルの白鳥伝説や白鳥を神の使いと考える白鳥信仰の言い伝えが残り、また各地に白鳥を祭った神社が存在し、白鳥を大切にしてきた土地といえます。

白鳥は明治中頃まで毎年飛来していましたが、狩猟の発達で昭和40年代後半まで姿を見せませんでした。
さらに干拓や工業開発によって、白鳥は広大な湿原地帯や湖を追われ、中小の沼や河川に飛来するようになりました。
昭和43年、蔵王町の宮地区に白鳥は再び姿を見せ、大河原にも来るようになりました。<
昭和58年には餌付けに成功し、昭和62年には「大河原白鳥を守る会」を結成し白鳥の保護にあたっております。
※鳥インフルエンザ等対応のため、「大河原白鳥を守る会」は平成26年より活動休止中。

現在では、11月初旬から3月の末まで白鳥が越冬にやって来ます。
1日最高800羽を越える白鳥が羽を休め、優雅でユーモラスな姿を見せてくれます。

白鳥の保護観察

※鳥インフルエンザ対応等のため、白鳥の餌付けは行っておりません。

極寒のシベリアを逃れ白鳥は日本へ飛来しますが、ここでも白鳥が求めるエサが満足にありません。
みなさんが持ち寄ったエサは、ご自由に白鳥へ与えてくださって結構ですが、過度の給餌はご遠慮くださいますようお願いいたします。
本来は自分でエサを探し、人間の手を加えず、自然のままに生きて行くことが望ましいのは言うまでもありません。
また、白鳥と上手に付き合うため次のことをお守りください。
● むやみに触らない。
● 手洗いの慣行。
● 石を投げ込んだり、走り回ったり、激しい動きをして白鳥を驚かさない。
● 犬や猫等の動物を連れてこない。
● 上流の白鳥休憩地へ入らない。

野鳥の鳥はインフルエンザ以外にも人に病原菌体を持っている可能性もあります。
日頃から次のことに注意しましょう!
◯衰弱死又は死亡した野鳥又はその排泄物を見つけた場合は、直接触れたりせずご連絡ください。
◯触れた場合は速やかに手洗いすること。

白鳥の種類と家族

大河原町の白石川に飛来する白鳥の約8~9割はコハクチョウで、残りはオオハクチョウです。
まれにアメリカコハクチョウやコブハクチョウが何回か姿を見せています。
白鳥の渡りの経路や寿命を調べるために首や足に標識をつけられた白鳥を確認したこともあります。

●コハクチョウ 大河原町白石川に飛来する大部分はこの白鳥。
●オオハクチョウ コハクチョウよりひとまわり大きく、声が甲高い。白鳥全体の1~2割程度だがいつも最前列にいる。
●アメリカコハクチョウ コハクチョウの亜種。毎年1~2羽飛来する。クチバシの大部分が黒い。
●コブハクチョウ 平成4年より飛来。放し飼いしていたものが半野性化し白石川へやって来た。

白鳥の夫婦はどちらかが死ぬまで、つがいがくずれないでいます。
その子はだんだんに親から離れ、若鳥のグループに入りつがいの相手を見つけます。
親子夫婦の絆は人間に比べても非常に強く、4月末になっても飛び立たないグループ(家族)があり、観察を続けたところ病気で弱った1羽(幼鳥)を見守り、それが死亡した翌朝グループが一斉に飛び立った例もあります。
真っ白い白鳥は親、灰色っぽい白鳥は子供達で家族はほとんど一緒に行動し、若鳥が親と同じ真っ白になるまでには3年かかります。

 

白鳥飛来の経路

北極に近いシベリア北部沿岸を営巣地としているコハクチョウ、それより南のシベリアを営巣地としているオオハクチョウの一部が主として日本に飛来する白鳥です。
5~6月頃に生まれたヒナは、2カ月程で飛べるようになり、10月には仲間達と一緒にやってきます。
白石川に毎年飛来するのは、大半がコリマ川河口からチャウン湾一帯までのシベリア海沿岸を営巣地とした白鳥とみられ、9月頃ふるさとを飛び立った群れは途中オホーツク海に面した港町マガダンを通過し、アムール川河口やサハリンを経て10月初め北海道のクッチャロ湖に降下します。
その後、翌春まで越冬する白石川へと南下するのです。

そして春、白石川から飛び立った白鳥はやはり一度北海道に降り湖や沼の氷が溶ける頃を目安に北へ北へと移動し、4月中頃から5月の初め頃をめどにふるさとシベリアへと帰って行きます。